がんばろう!岩手のスポーツ

岩手スポーツ応援団長を勝手に名乗る平藤淳の個人的なブログです

絵手紙と、ゆるスポーツ

土曜日、4月15日は、盛岡中央郵便局が主催する「絵手紙教室」に。
ポスティングされていたチラシに、
初心者の方大歓迎、持ち物不要です 手ぶらでどうぞ…とありますし、「新しい季節になりました 年齢関係なく始められる絵手紙 この機会に描いてみませんか?」という惹句。興味深いのです。

でも、開催間近だし、定員が少なかったのであきらめていましたが、妻が問い合わせるとまだ大丈夫とのこと、ラッキーでした。
初心者の二人が、そろっての参加です。

■初絵手紙

◆合言葉は「ヘタがいい ヘタでいい」
◆下書きもかき直しもしない
という大原則の説明を受けたうえで
道具の説明、毛筆で線を引く練習(直線、曲線)、ピーマンを墨で描く、顔彩で色をつける、文を書く、ハンコを押す、と進んでゆきます。

皆さん、初心者なのですが、結構上手にできています。

これ、おもしろい…と感じると同時に、
「ゆるスポーツ」が頭に浮かんできたのです。

■ゆるスポーツ

コピーライターの澤田智洋さんが代表理事をなさっている「世界ゆるスポーツ協会」という団体があります。
今、○○スポーツという概念が複数出てきていて、混乱なさるかもしれません。
今日は触れませんが、ゆるスポーツ、超人スポーツ、eスポーツには、きちんと説明ができる違いがあります。
思い浮かんだのは、その中の、ゆるスポーツです。

「スポーツ弱者を、世界からなくす」ことをミッションにつくりはじめた「ゆるスポーツ」は、
簡単に言うと
「勝ったらうれしい、負けても楽しい」
「運動音痴の人でもオリンピック選手に勝てる」
「健常者と障害者の垣根をなくした」新しいスポーツで、
これまで90競技以上を考案して、10万人以上の方に体験してもらいました。
澤田智洋、マイノリティデザイン-弱さを生かせる社会をつくろう,2021,ライツ社、p42

富山県氷見市は、ハンドボールが盛んな街です。
そして、魚のブリが名産品。
そこで開発された、ゆるスポーツが「ハンぎょボール」

思いっきり簡単に言えば、
プレーヤーが、その小脇に魚のぬいぐるみを抱えながら行うハンドボール。
シュートを決めるたびに、魚がどんどん出世して(大きくなって)ゆき、プレーしづらくなってゆくというルールで行われます。
シュートをどんどん決めるうまい人が、力を発揮するたびに動けなくなってゆく…という仕掛けで、プレーヤーの力をならしてゆきます。

■筆の端っこを持って書くルール

はじめに、筆の使い方を説明されます。
隣にいる人に、水平に肘うちを食らわせるカタチ…手・肘・方の高さをそろえ、横に肘を出す…で、筆の一番はじを持ちます。筆を手からぶら下げているような感じですね。
それで線や字を書くのです。これがルール。
私でも、とても書きづらい。書道のうまい方だったら、もっと書きづらい。

筆は2本しかありません。
字や線を描くものが1本、色を塗るものが1本。
色を塗る時も、字や線を描く時の姿勢が求められます。
私でも、とても塗りづらい。絵のうまい方だったら、もっと塗りづらい。

見てください、さっきの写真を。
すべての絵手紙が、同じくらい味があって、同じくらい上手なのです。
きっと
参加者の中には、絵のうまい人、字のうまい人がいたはずですが、
みんな、その時は同じレベル。
できあがった時は(うひゃあ、へたくそ)と自分で思うのですが、並べてみると、そうでもない。

筆文字や絵を描く力がならされて、もっとやってみたいなあ…と思わせる仕掛けがあります。
「ゆるスポーツ」のコンセプトである、
「○○弱者を、世界からなくす」に合致するような気がします。
まさに
「勝ったらうれしい、負けても楽しい」
「運動音痴の人でもオリンピック選手に勝てる」
「健常者と障害者の垣根をなくした」ルールで行われています。

絵手紙人口は、150万人ともいわれるそうですが、なるほど「始めやすく、続けやすい」性格を持っているように感じました。

■一辺倒に気をつける

「より速く、より高く、より強く」…他に卓越する、他を凌駕するという意味合いで使われているこの言葉(本当は違う意味合いなのですが)を、私たち競技スポーツ経験者は、どうしても求めてしまいます。
もちろん、これは大切なスポーツの価値ですが、
上手にできたらうれしい、うまくゆかなくても楽しい…既存のスポーツでもそういう嬉しさ、楽しさを多くの方々に与えることができたらもっといいのに…と、
絵手紙を通じて感じたのです。

何につけても、一辺倒はいけないだろうな…と。