がんばろう!岩手のスポーツ

岩手スポーツ応援団長を勝手に名乗る平藤淳の個人的なブログです

体協いわて92号(2023年3月号)発行/理事長あいさつ 再掲

公益財団法人岩手県体育協会の広報誌「体協いわて」第92号(2023年3月号)が発行され、Webで公開されています。

その中の「理事長あいさつ」を私が書いています。
広報誌の中では題名をつけられませんが、ここでは、題名を付けて全文を掲載します。

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通過と分岐(理事長あいさつ)

3年振りという言葉が、多くのイベントに枕詞のようについて回った令和4年度でした。

栃木県での国民体育大会本大会や岩手県で開催された日本スポーツマスターズ 2022 は、開催そのものが3年振りです。先月、八幡平市で行われた国民体育大会スキー競技会(スキー国体)では、競技は昨年から行われていたものの、3年ぶりに開始式が行われるとともに、有観客での競技開催となりました。県内イベントでも高校総合体育大会の総合開会式が、規模を縮小しながらも3年ぶりに実施されています。

ほかにも、盛岡でのプロ野球一軍公式戦、二戸のサイトギ、花巻まつり、吉浜のスネカ、陸前高田の七夕まつり、盛岡のチャグチャグ馬コ・さんさ踊りなど、3年ぶりに開催されたイベントは枚挙にいとまがありません。感染症の拡大を防ぎながら大会や伝統行事の開催にあたって下さっている皆さまに感謝申し上げるとともに、このような環境の下で準備や練習を積み重ねてきた参加者の方々のご努力に敬意を表する次第です。

さて、スキー国体の開始式では、旗手の行進を目の当たりにして大感動でした。さらに、地元八幡平市の小学生がステージ上で太鼓演奏をしたり客席から各都道府県を応援したりしていましたし、地元高校生も都道府県旗手をプラカードで誘導したり、地域の方々の地元料理の振舞いもあったりと、地域ぐるみの式典の魅力を満喫したのです。さらに、競技でも、選手に送られる声援に、身ぶるいするような感動を覚えました。

そして、このまま 2019 年以前の状態に戻すことができれば、私だけではなく、スポーツをする人や見る人、支える人など多くの方々にとっても、きっと嬉しいことだろうなと思っていました。

そんな時に、京都精華大学の稲賀繁美さんの次の発言に出会ったのです。

新型コロナウイルスが我々に教えてくれているのは、そうした現実なのではないでしょうか。ウイルスを撲滅して「なかったことにする」のではなく、むしろそのウイルスが教えてくれていることに目を向け、考えていく。それも人文学の重要な役割だとおもいます。
(君たちのための自由論 ゲリラ的な学びのすすめ、内田樹、ウスビ・サコ、2023 年 2月、中公新書ラクレ→ link

感染症の世界的な拡大によるスポーツへの影響を、私は「2019 年以前の状態に戻すこと」で解消しようとしています。つまり「なかったこと」にしたいのです。今年のスキー国体では、ある程度「戻った」大会運営に、喜びや感動を覚えました。多くの方々も、きっとそうだったに違いないのです。これはこれで、嬉しいことです。

しかし、スポーツに大きな影響を与えることが起きた時は、新たな「分岐点」をつくり出す機会にもなりえます。

振り返れば、この 12 年間、岩手のスポーツには多くの出来事がありました。2011 年の東日本大震災津波、2016年の国民体育大会・全国障害者スポーツ大会、2019 年のラグビーワールドカップ・新型感染症、2022 年の日本スポーツマスターズ・スポーツクライミングワールドカップ…。これらの出来事を、新たな分岐点にすることができたかと問われれば、胸を張って肯定することはできないだろうと、私は、捉えています。

今、中学生のスポーツ環境が大きく変わろうとしています。これは、単純に少子化や学校教職員の多忙を乗り越えることではなく、間違いなく新たな分岐点をもつくり出すものです。

この機会をとらえて、生涯にわたる岩手のスポーツ環境の分岐点を、加盟団体の皆さん、関係する皆さまとともに作りだしてゆきたいものです。

チャンス逃すべからず。

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興味のある方もない方も、お読みくださいませ。