昨夜は、2時間以上テレビにかじりついていました。
岩手県八幡平市出身の小林潤志郎、小林陵侑の兄弟に、北京冬季オリンピックのスキージャンプ競技男子団体でメダルを獲ってほしかったのです。
岩手関係の選手の中で、
兄弟でオリンピックのメダルを獲ったアスリートは、まだいません。
「初」は、とにかくうれしいのです。
そして、
弟の陵侑さんは、ノーマルヒルで金、ラージヒルで銀、混合団体で4位と好調ですし、
兄の潤志郎さんも、オリンピックでは、ノーマルヒル27位、ラージヒル24位の成績を残し、今季のワールドカップでも、団体2位、個人9位などの成績を獲得しています。
兄弟同時メダルの可能性は大きく、期待は膨らむのです。
メダル獲得を目指して追い上げ、3位には届かなかったものの、5位入賞。
みんな、よく頑張りました。
でも、テレビを見ながら、なんだか違うような気がしていたのです。
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今朝の通勤電車は、空いていました。大学生も高校生もほとんど乗っていません。
こんな時は、読みかけの小説…と言っても文庫本の短編集ですが…を読むに限るのです。
こんな文に行きあたりました。
昨夜の違和感の原因が、わかったのです。
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昨夜のジャンプ団体2本目は、8チームに絞られての実施でした。
1本目を終わって438.5点で5位。
首位スロベニアとは28.9点の差、3位のノルウェーとは18点の差があります。
1チーム4人ですので、一人あと5点追加で3位に、8点追加で1位になります。
いけそうな気がするのでした。
気がつけば、
日本以外の7チームの選手28人が飛ぶときは(失敗しないかなあ)と思っていました。
日本チームの小林兄弟以外のお2人には(もっと飛べないのかなあ)と心の中でつぶやいていました。
(それいけ、やれいけ、がんばれ、ぶっ飛べ)と応援していたのは、
小林兄弟2人だけ。
外国選手28人に呪いをかけ、
日本チームの県外の2人のパフォーマンスには悪態をつき、
実は、
応援していたのは小林兄弟2人だけ…。
地元出身選手のメダル獲得に目がくらんで、
高いレベルのパフォーマンスを楽しむという、スポーツ観戦の本質を見失っていたのです。
したがって、
「勇者に対する本能的な畏敬」や「美と貴さへの憧憬」などは、一切、感じませんでした。
昨夜の2時間は、やっぱり、普通のスポーツ観戦ではく、
自分の違和感は正しかったのです。
これでは、いけません。
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素晴らしいパフォーマンスをしてくれることが楽しいはずなのに、
その結果として使われている順位やメダルの数を楽しんでいる…
自分、何かがおかしくなっていることに気づいたのです。
私の「勇者に対する本能的な畏敬」や「美と貴さへの憧憬」は、どこへ行ったのだろう。
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でも、スノーボードビッグエアの岩渕麗楽さんの3本目の(たぶん)縦3回転へのチャレンジを見て、涙が出る「私」もまだある。
「だれのため、なんのため」に気をつければ、まだ、大丈夫だ。
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冒頭の写真は、岩手県体育協会会館。窓から見えるのは、小林兄弟のお父さんから贈られた応援フラグ。
鷲のマークが凛々しい。