私のFacebookに土曜日の岩手県営武道館の写真を載せました。
第65回岩手県高等学校総合体育大会剣道競技の様子の写真です。
すると、こんなコメントが入りました。
お疲れさまです。インターハイに向けて選手の皆さんは真剣です。一方で、これで三年生は引退ですね!我が娘も、名古屋で頑張った6年間に一先ず区切りです。うっ!? と思うのです。
この時期になると、いつも感じていることがあります。
「ほとんどの高校三年生は、これからスポーツ活動をしなくなる」ということです。
インターハイや国体、東北大会に関係しない運動部員は、運動部活動から『引退』して、勉強に励むことになります。
あ、学校では、ですが。
これで良いはずはない…と、ずっと考えてはいるのですが、『引退』に関しては、何も変わってはいません。
いや、変えることができていません。
大きく、反省しています。
スポーツと勉強を「2項対立」的に捉える考え方は、一体、いつごろからあるのでしょうか。
スポーツと勉強は「両立」しえないものなのでしょうか。
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今日、5月27日に文部科学省が
「運動部活動の在り方に関する調査研究協力者会議」の調査研究報告書公表しました。
タイトルは
『運動部活動の在り方に関する調査研究報告書 〜一人一人の生徒が輝く運動部活動を目指して〜』
文部科学省のサイトにはこうあります。
大阪市立桜宮高校での体罰事案を受けて運動部活動における体罰が問題となっていること、また、教育再生実行会議の第一次提言において、運動部活動指導のガイドラインを作成することが提言されていることを受け、「運動部活動の在り方に関する調査研究協力者会議」を設置今回の報告書には「運動部活動での指導のガイドライン」を含めて取りまとめられているということで、
マスコミでは「体罰のガイドライン」が公表されたという論調で取り扱われています。
でも、本当は違うんです。
報告書の中の〈運動部活動での指導のガイドライン〉は、こういう章立てになっています。
1.本ガイドラインの趣獅ノついて
2.生徒にとってのスポーツの意義
3.運動部活動の学校教育における位置付け、意義、役割等について
4.運動部活動での指導の充実のために必要と考えられる7つの事項
◆運動部活動での効果的、計画的な指導に向けて
�@顧問の教員だけに運営、指導を任せるのではなく、学校組織全体で運動部活動の目標、
指導の在り方を考えましょう
�A各学校、運動部活動ごとに適切な指導体制を整えましょう
�B活動における指導の目標や内容を明確にした計画を策定しましょう
◆実際の活動での効果的な指導に向けて
�C適切な指導方法、コミュニケーションの充実等により、生徒の意欲や自主的、
自発的な活動を促しましょう
�D肉体的、精神的な負荷や厳しい指導と
体罰等の許されない指導とをしっかり区別しましょう
○通常のスポーツ指導による肉体的、精神的負荷として考えられるものの例
○学校教育の一環である運動部活動で教育上必要があると認められるときに行われると
考えられるものの例
○有形力の行使であるが正当な行為(通常、正当防衛、正当行為と判断されると考えられる
行為)として考えられるものの例
○体罰等の許されない指導と考えられるものの例
◆指導力の向上に向けて
�E最新の研究成果等を踏まえた科学的な指導内容、方法を積極的に取り入れましょう
�F多様な面で指導力を発揮できるよう、継続的に資質能力の向上を図りましょう
運動部活動は、「生徒にとってのスポーツの意義」が確認され、「学校教育における、位置づけ、意義、役割」が考えられたうえで、運動部活動の指導について述べてあり、その文脈の中に「あってはならない指導方法」が語られているのです。
マスコミの論調を鵜呑みにして、自分で考えることを省略すると「木を見て森を見ず」になってしまうような気がしています。
どうぞ、お気を付け下さい。
あ、この下線部をクリックすると、報告書が見られます。お読みください。
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引退の話と関連します。
〈運動部活動での指導のガイドライン〉の前に、
�U.運動部活動の充実に向けた国、地方公共団体、大学、関係団体等の取組、支援への期待
という章があります。書き出しはこうです。
我が国の運動部活動は、各学校における顧問の教員等の取組により支えられ、多くの成果をもたらしてきました。そして4番目にこの記述があります。各学校で担当教科等の指導とともに運動部活動での指導にも積極的に取り組む顧問の教員等への支援のために、関係者は、活動経費、活動施設や設備等の整備、確保とともに、下記のような取組を充実させていくことが望まれます。
�C地域全体での生徒の活動の場の充実大会が終ったけれども、スポーツをしたい子どもたちはいるはずです。少子化等の学校を取り巻く状況の変化の中で、学校における運動部活動だけで、生徒が求める様々なスポーツ種目の活動の場を提供すること、また、より高い水準の技能や記録に挑むことを重視する生徒、技能等を身に付けることにはそれほどこだわらない生徒、あるいは、運動があまり得意ではないけれどスポーツに親しみたいとの思いを持つ生徒等、生徒の多様なニーズにすべて対応することは困難です。
国、地方公共団体、関係団体等は、生徒の多様なニーズ等に対応できるよう、各学校における運動部活動とともに、複数校合同による活動や地域における総合型地域スポーツクラブの育成、充実を進めることが望まれます。
考えさせられます。