We must have clear consciousness about our system.
Inspired by Tanka written by KIKUCHI Yo.
引用から始めます。
つまり、ぼくにとって「出版社をつくる」ことは、「未来の出版を築く」ものでなければならなかった。でなければ、どこかの出版社で、これまでどおりの活動をしていればいいだけだ。***もちろん、それを否定しているわけではない。ただし、 自覚的であるべきだとは思っている。何に対して自覚的であるべきかといえば、いま自分たちが精を出してやっている活動は、「かつて」よくできていたシステムに乗っかってのものであるということに対して、である。
あくまでも、現在乗っかっているシステムは、延命措置でしかない。 そして、おそろしいことに、ぼくたちはそのシステムの上で、 がんばればがんばるほど、「延命」に加担している。望むと望まざるとにかかわらず。
(三島邦弘,計画と無計画のあいだ---「自由が丘のほ がらかな出版社」の話,河出書房新社,2011)
体育教員だった私でも噂を聞いていて、実際に公開授業を見て感服した、
岩手県のカリスマ国語教員・
菊池 陽 先生の歌集「次は君だよ」(かりん叢書)が、書店に並んでいます。
(素晴らしいなぁ)
と、目次を開いて、目が止まりました。
2016年に岩手県で開催した、
第71回国民体育大会・「希望郷いわて国体」をテーマにした歌を集めたページがあるようなのです。
(さあ、どう感じて、どう歌にしてくださったんだろう)
と、ワクワクしてページをめくると、短歌が五首並んでいました。
読んでみると、
ヒヤリと背中に汗が流れたように感じたのです。
あの時は私も高等学校に勤めていました。
会期中には、県内の多くの高校の生徒と教員が、競技の選手や係員として国体に行くことが見込まれました。
私のいた学校はそれが顕著で、そのため、夏休みと冬休みを短くした上で授業が成立しないであろう国体期間中のピークの4日間を休校としたほどでした。
さらに、
総合開会式・閉会式の係員も高校の教員から出さねばならず、
まったくスポーツに関係のない先生にも係員をお願いし、
菊池先生の歌にある
「聖戦」「全学校総動員」「義勇軍」「役目」「直立不動」という言葉に象徴されるような状態でもあったのです。
***
私たち、スポーツ・体育関係者は、
復興国体を立派に成し遂げた、大成功に終わった、レガシーを残すことができた…などと言っています。
実際に、そのとおりの部分がたくさんあり、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の開催の意義は大きかったのです。
でも、
そう感じていない方々もたくさんいらっしゃるのです。
そして、
ほとんどの方は、そのことについて口にすることはありません。
ご自身が感じたこと、私たちが考えるべきことを、短歌で伝えてくださった
菊池先生は、偉大な方です。
***
ラグビーワールドカップが終わりました。
そして、
今、新型コロナウイルス感染拡大防止対策のためスポーツが止まっています。
このような、節目、節目で、
いや、
日常的に、私たちは自覚的でなければいけないのだ、
そうしないと「次は君だよ」という合図はもらえないのだ…ということを確認することができた歌集です。
どうぞお読みになって、何かを自覚してくださいませ。
■次は君だよ→Link
■計画と無計画の間→Link