昨日の話です。
午後は、岩手県初の、選手と企業の就職マッチング事業である「いわてアスリート就職マッチング2015」に出ていました。
こんなもので競技力があがるのか…というご批判も聞こえますが、
何十年も「競技力向上のためには、成年層の就職先の確保が必要」と言いながら、
「縁故」に頼るだけで「システム」をつくってこなかった、そして、「縁故」を拡大することだけを考えていた、
過去の自分の行動と比べたら、格段の進歩であります。
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アスリート就職マッチングについては、
岩手日報も盛岡タイムスも岩手日日新聞も、今朝の記事にして大きく報道してくださっています。
(記事は、下線を振った新聞名をクリックするとお読みいただけます)
岩手日報には
川徳の杉村人事部長と、私のコメントがこう載っています。
盛岡市の百貨店、川徳の杉村忠樹人事部長は「通常の企業説明会とも雰囲気が違う。選手たちは目の力が違うし根性がある。20年、30年先を見越しても採用したい。地元国体成功へできる限り協力したい」と語る。盛岡タイムスには県強化委事務局長の平藤淳スポーツ健康課総括課長は「選手本人の努力も必要だが、スポーツをした“岩手の宝”が戻ってくるシステムをつくりたい。(同様のマッチングを)岩手国体後も続けたい」と見据える。
国士舘大学の村田選手と、県強化委員会の星野総務課長のコメントがあります。
ハンドボールの強化選手の村田知紀さん(国士舘大学3年)は金融機関への就職を望む。「今まで自分が頑張ってきたスポーツを売りにできるので、その点では他の人よりも有利だと考えるが、それだけで特別扱いされるとは思っていない。自分は就職説明会自体が初めてだったので、これを機会にいろいろな職種を知り、自分にあったものを見つけたい」と話した。*****同委員会の星野俊一総務課長は「採用環境は改善しつつあるが、国体選手だから特別だという環境ではない。企業も一人の戦力として人材を確保したいという背景がある。県としては、企業訪問や就職マッチングを通じて、どういう人材かを紹介していきたい」と話した。
新聞記事を読むと、このブログをお読みになっている方は、私がつくったこの図を思い出すはずです。
この図が載っている記事は、この下線部をクリックするとお読みいただけますので、まず読んでいただきたいのですが、
今回のマッチング事業では
「C」のゾーンでの雇用が前提になっています。
通常雇用であるかわりに、競技活動が終わっても転職や雇用形態が変わらない形の雇用です。
「スポーツを通して素晴らしい人間をつくっている」という自信をよく口にするスポーツ界が、
同じ口で
「素晴らしい人間で選手生活が終わっても必ず会社の役にたつから、試験なしで採用してくれ」
というのは矛盾していると、私は、考えるのです。
素晴らしい人間は試験を受けても受かるはず、
試験を受けたら受からないのは、素晴らしくないから…じゃあないのかな、と。
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「スポーツを通して素晴らしい人間をつくっている」ということは本当だと思います。
でも、
何がどうで、これをこうして、あれをこうすることができる人だよ…と、説明することは難しいのです。
少なくても私は、
パフォーマンス・スタンダードとアスリート・スタンダードをきちんと切り分けて指導できませんでした。
その証拠に、よくこんなことを言っていましたから。
(挨拶もろくにできないやつが、パスが上手にできるはずがない!)
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できない時は、できる人を頼むに限るのです。
マッチング事業の午前中は、
『若者の「仕事につくまで」と「仕事についてから」を応援します。』というふれこみで若者の仕事・就職をサメ[トしている施設「ジョブカフェいわて」の
チーフキャリアカウンセラー・佐藤育男さんに『就活支援「応募対策集中セミナー」』をしていただきました。
そのメモが手に入りましたので、ご披露いたします。
■応募書類は書かないといけないが、『体格、目ヂカラ=皆さんは、自らが履歴書!』
■企業はスポーツマン大好き:
採用したいのは、�@まず体力!�Aつらいことも耐える事が出来る!�B勝つ喜びを知っている!
皆さんはそのものズバリ!何かに打ち込んできた人を企業は欲しがっている。
■面接で必ず聞かれること「学生時代何に打ち込んできましたか?」
⇒皆さんはそれを持っている。
『スポーツ』やってきた事は、頭に、身体にしみ込んでいるが、
それをいかに目上の企業の人に伝えるかはまだまだです。難しいことです。
今日は完成まではいかないが、企業に自分の良い所を伝えられる様に。
■今日、企業に印象付けておけば、ゆくゆくはかなりのアドバンテージになる。
全ての企業で面接のつもりで臨んできて!
■スポーツ:勝つためには練習あるのみ!
これからもスポーツをするに当たり「勝つために」は大事だが、そのあとの生き方について考えた事ある?
・華々しい成績を残したオリンピック選手にもその後の人生がある。
・プロ野球選手、引退した後も別の道で脚光を浴びられるのはホンの一握り。
多くの人は引退した後に就職活動をしている。
⇒今日参加の企業はアスリート採用に興味を示している。
就職すれば国体が終わっても食べていけます。
家族を養っていけます。
■ボクシングの村田選手も言っていたでしょ。
仕事はしっかりして、短い時間で集中して練習するからこそ効果が期待できる。
工夫をして成果を出している。
■スポーツだけじゃなく、人生のアスリートとして生きて下さい!(今、思いついた!いい言葉だ!!)
どうでしょうか「餅は餅屋」です。
これまで、私たちがインプットしてきた様々な「アスリート・スタンダード」を表現する目的とその方法を、きちんと教えてくださる方が、スポーツの外側にいるのです。
できないことをきちんと把握して、できない時は、できる人を頼むに限るのです。
どんどん可能性がふくらんでゆくような気がしませんか?
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20社ほどの企業ブースが並びました。
百貨店のブースの人だけが、終わりに立ち上がって、学生に向かってお辞儀をしていました。
立って礼をするのは、この会社だけ。
ジョブカフェいわては、相談窓口としてのブースを出してくださいました。
学生がブースを入れ換わる時間帯になると、立ち上がって学生が来るのを待っていました。
立って待っているのは、ここだけ。
マッチング事業が終わってから、私は、病院に行きました。
あ、ただの風邪ですが。
聴診器を胸にあてられました。
(じゃあ、今度は背中を)というと、先生は椅子から立ち上がって、私の背後に回りました。
患者を回転させないお医者さんに会ったのは、生まれて初めてです。
いろんなところに、いろんな配慮があるんだなあ…と感じた、クリスマス・イブでした。