宇都宮の駅ビルに、スーパーがあります。
出張帰りには、いちごを買って帰ろうと思っていたので、寄りました。果物もたくさん並んでいて、
その一角は、どうやらJAのブースのようです。
とちおとめ、とちあいか、スカイベリー、ミルキーベリー…
おなじみの小さめのパックに入った普通のサイズのいちご、
大き目のパックの中に4〜5個が平らに並んで入っている大きな大きないちご…
迷いに迷って、
大ぶりないちごと普通サイズのいちごを、1パックずつ買うことにしました。
でも、大きなスーツケースを転がしながら、新幹線で帰ることを考えると、悩みます。
***
棚の奥に、いちごが2パック入る段ボールの箱があることに気がつきました。
110円です。
その段ボール箱は、私の肩にかけている大きめのトートバッグに入りそうでした。
持ち帰るのが、とても楽ちんになります。
でも、
箱は、小さめのパックを入れるサイズのようです。
年の頃なら私と同じぐらいの、ジャンバーを着て果物を台車で運んでいる男の人が通りかかったので、声をかけてみました。
果たして、お店の人。
◆これと、これを、この箱に入れることはできますか?
◇うう〜ん、この箱は、このパック用の箱だから…
こっちの大きなパックはむずかしいなぁ。
◆そうですか…
その人が去ってから、あきらめきれずにず、実物を箱にあてがったりして、ためしてみました。
大きなパックでも、ヘリの部分を潰せば、入りそうです。
(よし、これと、これ、を買って、
この箱に自分で入れてみよう)
***
いちごといちごと箱をレジに持って行くと、
店員さんに、
包装するかどうか、フルーツ用の袋は必要かと聞かれたました。
(おっ⁉︎
この箱に入れてもらえそうだ。
やっぱり、入るじゃないか!
さっきの男の人は、知らなかったんだ!)
持ち歩きも見栄えもよくなりそうなので、どちらもお願いすると、
レジの人が、無線で包装してくれる人を呼びました。
会計をしている間に、包装する人が来たのですが、
な、な、なんと、
さきほどの男性。
お互いに
(あ、さっきの⁉︎)
と少し気まずい。
しばらく待っていると、
なにも入っていない110円の箱と、
その倍ほどの大きさの、包装され袋に入った箱を持って、男性がやってきました。
レジの人にこう言っています。
(この箱には入らないから、
こっちの大きな箱に入れたよ。
だから、
110円の箱は返品。返金してあげて)
大きな箱の代金を払うと言うと、
男性は、
(これは、
ちょうど裏にあった売り物じゃない箱。
だから、お金はいただけない)
の、いってんばり。
***
男性は、わかっていたと思います。
(こいつ、パックを潰して、
無理矢理、箱に入れるつもりだな。
そんなことされたら、いちごが傷む。
せっかくの、
美しくて美味しい栃木のいちごが
ダメになる。
大きな荷物だし、遠くから来た人だろう。
きっと、こっちで食べてみて、
他の人にも食べさせたいと思ったに違いない。
よし、
じゃあこっちの箱に入れて
大切ないちごの
味と姿とイメージを守ろう!)
***
自分は、
地元の名産を守ろうとしたことがあっただろうか、
岩手のアスリートの強さや速さや美しさや優れた技を、
そして、
人間としてのアスリートと指導者、支援者を
この男性のように守ろうとしているだろうか…
今年の第77回国民体育大会は「いちご一会(いちごいちえ)とちぎ国体」が愛称です。
いちご売り場で、もう二度と会わないであろう人と出会って、
大切なことに気づかされる…
文字どおり、一期一会、
しかも、
いちごを間に挟んだ、いちご一会…
今年の国民体育大会は、成功するに違いないだろうと感じたのです。
さあ、
感染拡大を防いで、3年ぶり開催予定の秋の本大会を後押ししましょう!