昨日・9月29日、スポーツ庁が「令和2年度体力・運動能力調査報告書」を公表しました。(スポーツ庁のページ→ ここ )
毎年、体育の日前後に発表されているものです。
どれ、どれ…と読んでみたのですが、驚くべきことを発見したのです。
後ろのほうに面白いことが
体力・運動能力の変化はどうだとか、測定種目ごとの変化はこうだとか、そいう記事はこれから新聞に載るのでしょうから、ここでは触れません。
マスコミでも報じないので、
ご存じないでしょうが、
「調査結果の概要」の後ろのほうに
「4 運動・スポーツの実施状況と体力」という章があって
そこに
「(3)運動部やスポーツクラブへの所属の有無と体力」という項目があるのです。
こういう記事が、実は面白い。
コ・コペルニクス的転回
小さな(コ)、コペルニクス的転回があったのです。
昨日公表された、令和2年度の調査結果を見ると、
こうありました。
中学校、高等学校、大学のいずれかでの運動部(クラブ)活動の経験の有無と、20歳以降の新体力テストの合計点の関係を、図4-9(男子)及び図4-10(女子)に示した。
男子には、一定の傾向はみられない。
女子はいずれの年代おいても、中学校、高等学校、大学のいずれかで運動部(クラブ)活動を経験した群の合計点は、経験のない群よりも高い傾向を示している。
男性は、部活動(クラブ)経験とその後の体力の状況には「一定の傾向はみられない」というのです。
それを表しているのが、下の図。
そんなバカな…と、過去の報告をさかのぼりました。
昨年、公表された、2019年のものにはこうありました。
…略) 合計点は、男女ともに運動部(クラブ)活動の経験の有無にかかわらず、加齢にともないほぼ同様に低下する傾向にある。
しかし、
中学校、高等学校、大学のいずれかで運動部(クラブ)活動を経験した群の合計点は、75~79歳男子を除き、運動部活動の経験のない群より、いずれの年代においても高い値を示している。
したがって、
学校時代の運動部(クラブ)活動での経験が、その後の運動・スポーツの習慣につながり、生涯にわたって高い水準の体力を維持する要因の一つになっていると考えられる。
グラフはこうです。
これまで、私は、
運動部活動は、のちのちの人生を健康に過ごすための…などと聞きましたし、言ってもきました。
今年の結果では、そうは言えないようなのです。
天地がひっくり返るような衝撃です。
あわてて過去を調べる
スポーツ庁のサイトには、体力・運動能力調査結果のアーカイブがあります。( この下線部をタップ すると行けます )
動転した私は、結果をさかのぼってみました。
同じ項目が報告されているのは、
2019(令和元)年から2009(平成21)年の11年間で、
その間、一貫して、
■運動部活動の経験は
■その後の運動・スポーツ習慣につながる
■そして生涯にわたって高水準の体力を維持する要因になる
と解説されています。
やっぱり、昨年調査が、急に変化しているのです。
原因は何だろう
こんな時に(ほらね、だからね…)と、早合点し、自分の仮説にあてはめてはてはいけません。
報告書にはこうあります。(強調は平藤)
令和2年度調査結果における留意点
令和2年度調査では,以下のような点が例年とは異なっている。
① 実施できなかった都道府県があること。
② 合計点標本総数が例年の6分の1程度(前年度の 15.1%)と少ないこと。
③ 年齢階層および性別ごとの標本数は概ね 200~300 程度あるが,選択して実施する「持久走・急歩」等のテスト項目における標本数,また質問紙に対する回答状況に基づいて分析を行う「運動・スポーツの実施状況と体力」や「健康・体力に関する意識と体力」などにおいて群分けされた一群当たりの標本数に,極めて少ないものがあること。
④ 調査実施時期が例年より後ろ倒しされている。このため,青少年においては,成長に伴う発達の影響が結果に反映されている可能性があること。
そして
これら標本数の減少などによるサンプリングのバイアス等については精査が必要と考えられるが,令和2年度調査ではそれらの確認は困難である。
そのため,調査結果の解釈や例年との比較には十分な留意が必要である
昨年の調査の結果だけでは、何とも言えないのです。
どうしよう
変化の原因は、わからないのです。
そして、
結果が参考になるものであるかどうかも、わからないのです。
でも、
こんな大きな変化に、気づかないのはいけません。
気づいて、観察しつづけなければなりません。
そして、動かねばならないでしょう。
がんばりますよ、がんばりましょうね!