がんばろう!岩手のスポーツ

岩手スポーツ応援団長を勝手に名乗る平藤淳の個人的なブログです

あひをゆく

体育館で講演会をする…さて、あなたは、どういうイメージをお持ちになりますか?

体育館の奥にステージがあって、フロアにはパイプ椅子が並べられ、

講師の方がステージ上の演台でお話をするのを、お客様はフロアの椅子に座って聞く…

これが普通でしょうね。

他の方法は思いつきませんか?

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今日は岩手県スポーツ推進委員研修会にお邪魔してきました。

会場は花巻市総合体育館アネックス。

開会行事前にアトラクションとして、八木巻神楽が披露されました。

早池峰神楽なら聞いたことがあるけどなあぁ…と調べてみれば

岩手県花巻市大迫町にある、10世帯ほどの小さな集落、八木巻。この集落に450年もの間受け継がれてきたのが八木巻神楽です。
という説明のある、すごい神楽なのでした。

これまで、神楽を見る機会がほとんどなかったのですが、

今日は、スポーツ推進委員の全国組織の会長さんとご一緒に、じっくりと見させていただきました。

調べると「三番叟」というものでした。素晴らしいです。

他のところで演じられた八木巻神楽「三番叟」の動画がありましたので、下の画像をクリックしてどうぞご覧ください。

さて、会場で見ていると、ところどころで、何か気持ちの悪いような、落ち着かないような気になって、

踊り手に引っ張られるような気がしたり、逆に押されたりするような気がしたりするのでした。

(なんだろう…)

一生懸命に見てみると、ところどころで、太鼓のリズムとステップのリズムが、本当に微妙にずれる様な気がするのです。

いや、

踊り手の方が、ほんのちょっと、ずらしているのでしょう。

(なるほど、このことだったのか!)

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こんな文章を読んだことを思い出しました。

能楽における拍子は一行八拍の基本リズムで構成される。強拍がこの八拍のどれかに合えばオンビート(「ノリ」)、その間を打てばオフ・ビート(「あひをゆく」)になる。能楽の「一調」は謡と鼓の二人だけのコラボレーションのことだが、謡の巧い人は「のらずして、あひをゆく」ので、「下手鼓」はどう打ってよいかわからない。逆に、上手の鼓もまた「あひをゆく」ので、「へたうたひ」は声を出すことができなくなる。(内田樹私の身体は頭がいい』文春文庫)
私が身体で刻んでいるリズムが、微妙にずらされる部分があるのです。

その変化を(するり)と受け入れて(上手い!)と感じる力が私にはないのでしょう。

ですので、気持ちの悪いような、落ち着かないような感じがあるのでしょう。

でも、動画で見ると感じませんでした。

「ライブの力」なんでしょうね。

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花巻市総合体育館アネックスは昨年できた小アリーナです。とはいえ、観客席もあり冷暖房も完備しています。

四方に観客席があるのですが、ハンドボールのゴール裏になる面の観客席は、フロアまで階段状になっています。

花巻市の方は「劇場型」とおっしゃっていました。

今日はその階段席に参加者が座り、フロアに小さなステージを置いての研修会です。私たちのイメージとは正反対の使い方…。

 

どなたの設計かなぁ、と聞けば設計は市内の業者だそうです。驚きましたが、市長さんのイメージを具体化したようです。

私なんか、

現場に何度も行って見ているにもかかわらず、こんな使い方を発想することができません。

それなのに、作る前にこの使い方をイメージできる方は、すごい人だなあと感じます。

さまざまなことで「あひをゆく」ことができない私…を実感した、皆リアル、あ、失礼、実りある研修会でした。