私が盛岡中学で汲泉先生にめぐり会えたのはむしろ運命的といえる。ガキの時分から絵が得意、一発びっくりさせてやろうと気を入れて描くのだが、さっぱり点がよくない。先生はだまって私の目を見つめられる。なんだかわからぬがとにかくはずかしさがこみあげて来る。「大きな絵を描きなさい」先生はおっしゃる。この一言が実はその後の私にどんなにか、はかり知れない影響を与えてくれたことか。たとえ下手くそであろうとドカンと真っ向からぶつかって苦しさを外へは出さずに、あくまでものびのびと大らかであれという意味であることがだんだんわかって来た。とにかく紙からはみ出さんばかりの絵を描くようになったし、点がたちまちAになる。 上野の倦蛯フ入試でもデッサンが紙に納まりきれずに落第かと思っていたら、ちゃんと受かっていたし、その後、本職の絵描きの勉強が始まったわけですが、生来不器用な上にこのドカンとばかでかい絵を描こうという志が強烈なために、なかなか仕事ができあがらない。****** 気がつきました。 「端っこが切れている」のではなく「全体が入りきらない」ということ、 つまり、 自分が枠の外に想いを拡大してゆかなければ、全体を見ることができないんだ…ということに。 ********** ◇ははぁ〜ん、こんなこと考えてるんですね。 キャンバスを小さくせざるを得なくなり、予定のイメージが描けなくなったった時に、 はじめは、縮小をかけて全体を書描くのか、あるいは、原寸で必要な部分だけを描くのかと悩んでいた… ◆こんなイメージだよね。 ◇そうです。 でも、新しい考えが出てきた。 他の人のキャンバスをくっつけてもらえば、初めのイメージ全体を原寸で描けるのではないか…と。 ◆こんなイメージだよね。 ◇そのとおりです。
大きなキャンバス
昨夜は、連休明けの月曜というのに、「たくらみ夕食」をしていました。
今夜も、連休明けの月曜日の飲み会の次の日だというのに、「したしみ夕食」をしていました。
たくさんのお話ができて、とても楽しいのですが、財布と身体には確実にダメージがあります。
昨夜は、社団法人の方との「たくらみ」でしたが、そのほかにも、予期せぬ様々な方々とお会いしています。
マスコミ関係の方、豆腐製造の会社の方、豆腐製造用機械の会社の方、100人規模のSUSHI DININGを経営している方、これからダンスで喰ってゆこうとしている若者…
(みんな、すごいなぁ)
豆腐製造の方のャPットから、このチラシが出てきました。
『真の豆腐日本一はどっちだ! 豆腐バトル 岩手vs沖縄 盛岡ステージ』
お豆腐屋さんから聞けば、去年は沖縄で開催され、岩手が負けたのだそうです。
その方、今年はホームでリベンジだぁ!と気合十分でした。
おもしろそうなイベントですし、
なにより、「盛岡ブランド市民推進会議助成事業」なのだそうです。
「豆腐のような柔らかい発想を持っている人がいる街」のような気がします。
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4日に「2012アート&クラフト〈土澤〉マーケット」に行ってきたことは、すでにお知らせしています。
その時、ついでに、というか、当然、というか、萬鉄五郎記念美術館に寄ってきました。
企画展として行われている「いわて創作版画の系譜 近現代木版画展 第一部」を観てきたのです。
穀蔵 力という方の作品がずいぶん気になったのです。
宮沢賢治の童話や詩を元に作られた版画なのですが、どこかがきれているのです。
木のてっぺんがきれていたり、馬の背中がきれていたり、とにかく、全部が描かれていないのです。
(なんでだろう…、でも、なにか惹かれる)
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3月18日に「山の画家 吉田清志 全貌展」を見に行ったことは、お知らせしています。
その時に、図録を注文してきました。
見本しかないので、でき次第、送る…といわれていたのですが、まだ手元に来ていなかったのです。
行ってみれば、とっくに出来上がって、ホールに平積みになって販売されています。
帰りに、事情をお話して買い求めてきました。
後ろの方に「画家のことば」というページがあり、新聞への投稿や、展示会のパンフレットや図録から引用した、吉田清志さんの「ことば」が載っています。
1971年1月11日の岩手日報に寄せられた「汲泉先生のひとこと」という文章を、前後を略して、引用します。