昨日の夕方、国立スポーツ科学センター(JISS)の方のお話を聞く機会がありました。
「いわてスーパーキッズ」に関連する「そもそも」、つまり、タレント発掘・育成の根本となる考え方のお話です。
その中で、気になることがありました。
『システム』と『プログラム』の話です…私たちは、これに関連した勘違いをしていないだろうか、と。
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「一貫指導システム」を持っている、作り上げた…という県内の競技団体の人に、よくよく、お話を聞くと、
それは、
「一貫指導プログラム(カリキュラム)」を作り上げた、ということだったりします。
具体的には、
日本代表をゴールとして、年代ごとに累進(スパイラルアップ)してゆく「するべきことと教えるべきこと」を体系化し、岩手から世界への道筋を示した…ということです。
これはこれで素晴らしいことで、その作成のご労苦には敬意を表するものですが、これは『プログラム』です。
『システム』には『プログラム』が必須であることは言うまでもありませんが、
プログラムができたことでシステムができたことにはならないのです。
コンピュータに例えます。
『プログラム』は「ソフトウェア」でしょう。
『システム』は「コンピュータ本体」であったり「プリンタ」であったり「インターネット回線」であったりというソフトウェアを「走らせる」環境でしょうし、オペレートする人やコンピュータが動くための電源などもその一部に含まれなければならないでしょう。
タレントをどう集めるのか、指導者はどうなるのか、活動場所はどうなるのか、事務的な仕事を誰が行うのか、事業に必要な資金はどうするのか…が解決されてはじめて『システム』になるのでしょう。
「ビジネスモデル」という概念が参考になるのかもしれません。
NECのWisdomというサイトに、こんな説明がありました。
ビジネスモデル**********企業が行っている事業活動、もしくはこれからの事業構想を表現するモデルのこと。
端的に表現すると、「儲けを生み出すビジネスのしくみ」である。
ビジネスモデルの3要素とは、「顧客」「価値」「経営資源(チャネル、ノウハウなど)」である。
つまり・・・
1.誰に対して、どんな価値を提供するのか、
2.そのために、保有する経営資源をどのように組み合わせて、その経営資源をどのように調達し、
3.パートナーや顧客とのコミュニケーションをどのようにして図り、
4.いかなる流通経路と価格体系で、顧客に届けるか
・・・という、ビジネスのデザインについての設計思想が「ビジネスモデル」なのである。
(言えば伝わる…と、思い込んでいること、よくあるんだよな…。)
心配になりました。
陸上競技やラグビー競技などの「競技会」は『プログラム』であって、
震災復興と位置付けて、40の正式競技を県内で行うこと、
また、
公開・デモンストレーション競技を含めて県内の33の全市町村で競技を行うこと、
さらに、
大会開催のレガシーを後の世代に残すこと、
そして、
限られた、人的・財政的資源のもとで大会を運営すること…などは『システム』として扱われるべきものでしょう。
「新しい岩手型国体」というのは、誰がなんといっても、新しい『システム』のことを指すに決まっています。
『プログラム』と『システム』を混同しては絶対にいけません。
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「専修大学学術機関リャWトリ」というサイトにあった、
『スポーツ政策における一考察‐日本のエリートスポーツにおける一貫指導システムの問題と課題‐』
という、
久木留 毅さんがお書きになった論文
が参考になります。
その中の一つの図だけをご紹介しておきます。
上の箱の中が
プログラムだとお考えいただければいいでしょう。
詳しくは、ここをクリックして全文をお読みくださいね。
ちなみに、
ファイルを開くと「英文」が出てきますが
2ページ以降は「邦文」です。
恐れることはありませんよ。
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調べていたらこんなものを発見しました。
『一貫指導システム構築に向けたJISS の役割』というものです。
中味を抜きます。
◆国際競争における競争優位性を保持するためのトレンドがんばらないといけませんね。現在、世界の国際競技力向上のフレームワークは類似化し、その取組みに大きな違いはないが、JISS スポーツ情報研究部の情報によれば、それらの取組みの実行面においては次のような特徴が見られる。世界との競争において、イノベーションを素早く確実に実行することが自国の競争優位性を保持する上で重要なファクターとなっている。
・Be different(違いを生み出す)
・Be unique(独創的であること)
・Do thing first(どこよりも早く実行すること)
・Be more creative and innovative(より創造的かつ革新的であること)
・Take risks(リスクを恐れないこと)
・Create culture focused on winning(勝つことにこだわる風土)
・Total commitment(全力で取り組む)
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◇ぐふふふふ。
◆何がおかしいの!?
◇おんなじことを、前例に倣って、誰よりもゆっくりと、変化は禁物で、リスクの匂いには近づかず、
勝たなくてもいいやと思いながら、絶対に全力では取り組まない…
これぞ、hirafujiじゃあありませんか!
◆ぎゃふん!
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間違ったら、大変なことになりますよ。
岩手県には、国体の開催や岩手の競技団体に関して、
こんなふうなお考えを持っている方も沢山いるのです。わたしも、なるほどと思う所があります。
『新しいスポーツ界』に変われるかどうか、私たちの真価が問われているのですから。