がんばろう!岩手のスポーツ

岩手スポーツ応援団長を勝手に名乗る平藤淳の個人的なブログです

ショーケース越し

デパートの地下で、お正月の和菓子を買いました。地元のお菓子屋さんのテナントです。

少ししか買いませんでしたが、箱に入れてくださいました。手提げ袋にも入れてくださいました。

私たちに商品を渡す時にこういいました。

『上からで、すみません』

ショーケース越しに手渡しされましたが、

(お店から出てきて、直接、渡すのが標準だけども、忙しいので、出て来られないんだろうな…)

と思いました。

同じく、お年始のカステラを買いました。有名な中央のお菓子屋さんのテナントです。

箱に入っているものを手提げ袋に入れてくださいました。

やっぱり、ショーケース越しに商品を渡してくれました。

でも、添えられた言葉は「ありがとうございます」だけです。

(ははぁ〜ん、この店、ショーケース越しが標準の商品の渡し方なんだな。渡せばいいんだな。)

と思いました。

その後、街のコーヒー屋さんに行きました。コーヒー豆の福袋を買ったのです。

若い女性の店員さんが、豆を挽くかどうか聞いてきました。挽いてもらうことにしました。

待っている間に…と、小さなカップに入ったコーヒーをご馳走してくれました。思わぬサービスにニコニコです。

お待たせいたしました…の声がかかり、ショーケースの前に行きました。

女性店員はショーケース越しに商品を渡そうとしましたが、コーヒー豆を挽いてくださった、年格好からたぶん店長の男の方が、女性店員を制してなにやら合図をしました。

女性店員は(あっ!?)という顔をして、慌ててコーヒーやパンをお客さんに出す場所に移動して、そこからコーヒーの入った紙袋を渡してくださいました。

(あ、ここはセルフサービスのお店だけれども、この場所以外で商品をお渡しすることは失礼にあたるんだな…。)

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去年の10月に

おいでませ!山口国体の総合開会式に岩手県選手団として参加しました。

山口県の実行委員会が指定した宿舎から、開会式の会場である陸上競技場までは『計画輸送』のバスが出ます。無料です。

1時間弱のバス移動の間、考えていました。

(なんで、無料なんだろう。)

開会式で行進する選手も私たちと同様に『計画輸送』対象です。

(これも、なんで、無料なんだろう。)

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こう考えました。

『交通の手配をされているのは、「従業員」や「出演者」だからだろう。』

国民体育大会の開会式では、式典運営の係員や合唱隊やマスゲーム出演者や都道府県選手団を運ぶためのおびただしい台数のバスが、グランドに作られた仮設駐車場にビッシリと並ぶ風景が見られます。

コンサートを思い浮かべてみてください。

コンサートを運営する人たちと出演する人たちは、移動手段を提供されるか、移動にかかる経費をもらえます。

つまり、交通の手配をされるのです。

一方、

お客さんは、自分でチケットを買って、自分で家から会場まで移動します。交通の手配は自前です。

このように考えると、選手団は「出演者」と捉えてまちがいはないようです。

国民体育大会総合開会式では選手団は「主役」でもなんでもなく、出演者の一人なのです。

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では、開会式のお客さまは誰なのか、『耳当たりのよい言葉』でよく使われる、「開会式の主役」は誰なのか…ということを考えなければなりません。

それは、入場券の抽選に当たるなどで入場券を入手して、

開会式にシャトルバスを含む公共交通機関を使って自分でやってきて、

長い列をつくって入場を待ち、持ち物検査でペットボトル飲料を取り上げられて屋根のない芝生スタンドに座っている、地元の皆さんだろうと考えられます。

勘違いしてはいけません。

開会式に関して言えば、決して、全国各地から来た選手団が主役ではないのです。

その証拠に、

選手団はマスゲームが終わるまで入場門の外で待機していて、半世紀に一度の集団演技などをちっとも見られないんですよ。

(写真は入場門前の選手団。中ではマスゲームをしています。)

朝早く集合して、待機→行進→解散までのほぼ一日、ただただ、出演者としてお客さんに観られるために行動するのです。

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総合開会式の『メッセージ』はこうでしょう。

国民体育大会の開催に向けて、県下各地のさまざまな人たちが力を結集し、こんなすばらしい式典をしていますよ。

会場の岩手の皆さん、岩手の力を見てください。

天皇陛下もすばらしい式典を観にいらっしゃいましたよ。

全国各地の選手たちも皆さんのために集まってきましたよ。

全国に誇れる力を持っているんですよ、私たちの郷土・岩手はすばらしいでしょう!

前を向いて、一緒に進み続けましょうね。

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◇で、カウンター越しの商品受け渡しと国体の開会式の主役は何の関係があるんですか?

 お屠蘇の飲みすぎで、どうかしちゃったんじゃありませんこと?

◆「規模縮小」で気をつけなければならないことは、目的の勘違い。

 やむを得ず発生してしまう『失礼』を、どうやってカバーするかだよね。

◇わ、わかりません。

◆和菓子屋さんの店員さんの気持ちを持つべきだ…ということだよ。

 カステラ屋さんじゃダメだ。

 一番大切なのは、コーヒー屋さんの店長になる人がちゃんといるかどうかだろうね。

◇はぁ。

◆長くなりそうだ。日を改めよう。