文部科学省が日本体育協会に委託し、全国の小学校にオリンピック選手などを派遣する「スポーツ選手活用体力向上事業」が行われています。
時々、新聞に載っていますのでご存知の方もおられるでしょうが、岩手県でもたくさん行われています
この事業の日体協との調整は私たちの課で行っていますので、報告書類などが届きます。
今日、県内の小学校に女子バレーボールのモントリオール五輪金メダリストが講師でおいでになった事業の報告書が回ってきました。
内容は、
講話「スポーツの楽しさについて」、実技、そして6年生との昼食会。
講話の中では、「何のスポーツでもいいから、みんなも金メダルをとるようにがんばって」と呼びかけてもらい、
本物の金メダルも全員の首にかけてもらったそうです。
金メダルの威力には絶大なものがあることを知っていますので、子どもたちには良い刺激になっただろうと、関係する皆様に感謝しております。
子どもたちの感想文も一緒についていました。
「あらためてスポーツの楽しさがわかった。またやってみたい。」などの記述があり、
みんな、楽しくスポーツについて知り、バレーボールに親しんだ様子がわかり、ありがたい事業だなと感じましたが、小学6年生の女子児童の感想に一つだけ気になる表現がありました。
「いい思い出になった。」
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◇やっぱり、へそ曲がりですね。
小学生が金メダリストと触れ合って「いい思い出になった」と喜んでいることが、
なんで気になるんですか、いい事でしょう?
◆日本体育協会のサイトには、事業の趣獅ェこう書いてあるんです。
本事業は、子どもの体力向上や望ましい生活習慣の形成に向け、文部科学省が展開している『子どもの体力向上啓発事業』の一環として本会が委託を受け実施します。◇だからぁ、楽しかったんでしょう、その子は。それで、いいじゃありませんか!普段、スポーツに親しむことの少ない子どもたちのために、トップアスリート(元トップアスリートを含む)を招いて実技指導・講話を行ない、体を動かすことの楽しさを伝えませんか?
◆「思い出」じゃなくて、「きっかけ」にしてほしかったんだよねぇ…私としては。
◇ああ、そういうことでしたか。
スポーツが結果として楽しかっただけでは何もならない、
スポーツは楽しかったから、これからもっと楽しいことをしようという生活習慣の変容の契機にならなければ…
という程のことをおっしゃりたいんですね。
◆はい、そのとおり。
◇さらに、
スポーツイベントも同じように、「思い出」に止まるのではなく、皆さんの「変容の契機」にならなければいけない…でしょ?
◆はい、そのとおり。
◇私もそのとおりと考えますが、hirafujiさんが言っても説得力はないですね。
◆な、なんで?
◇日曜日から今日までの5日間に、家事労働と通勤以外に、何分、身体活動をしましたか?
ゼロでしょう!?
◆へへへへへ、30分は歩いたよ。
◇あらやだ、いつの間に!?
◆病院の往復!明日も歩く予定だよ。
◇ばぁ〜か。
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愕然とする資料がありますので、ご覧ください。
文部科学省が行っている「平成21年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の発表資料から抜粋しました。
「1週間の総運動時間の分布」です。
体育の授業以外に1週間でどのぐらい運動したのか…というもので、左側が小学校5年生の女子、右側が中学校2年生の女子の分布です。
だから「思い出」ではなく、「変容の契機」が必要なのです。やがてお母さんになる人たちなのですから。