◇賑やかですが、何かやっていますね。
ずうっと前から気になっていたんですけれど、洋服の青山の向いの
運動公園の端っこにある、あの「やぐら」はいったいなんなんですか
◆岩手県営運動公園「とはん」競技場
◇はあ、あれが、登坂場ですか…「坂」というには急すぎませんか?
直角じゃないですか
◆字が違います。登攀場です。別名クライミングボード
◇『攀=はん』の訓読みは「よじる」とあります。
意味は「すがりつくようにして登る」。
でも、当用漢字ではないらしく、新聞では「登はん」と標記されていて、意味がよく分かりませんでした。やっぱり漢字は偉大です
◆はい、はい。よくご覧なさい。上のほうは「オーバーハング」になってるでしょう
◇本当だ、こっちに出っ張ってるじゃないですか。大変ですね。
で、あの「つかむところ」をつたって登ってゆくんですね
◆はい「つかむところ」をホールドと言います
◇みんな番号札を背中につけてますけど、大会ですか?
◆うん、県クライミング選手権大会。ボードの裏にこんな貼紙がしてあったでしょう
◇ほう、自由登攀って書いてますど、フリー・クライミングって訳すんですかね。で、どうやれば勝ちですか
◆上まで登れば勝ち
◇まったく〜、誠意が感じられませんね。そんな説明じゃ誰も見に来ませんよ
◆だってそうだモン。7分とか6分の制限時間内に、15mの高さのボードをどこまで登れるかを競います
登りに要したタイムは関係ありません。
◇面白そうだから見て行きますか?
◆じゃあ、道草喰ってくか
◇あ、はじめの選手がきました。はぁ、もう一人の人はロープをおさえる係りと見ましたが正解ですね。何ですぐに登らないんですか?なんですか、なんか、もがいているようですが、今頃、体操ですか?
◆違う違う。選手ははじめに1回しか「壁」を見せられていないので、今、ルートを確認して、登るイメージをつかんでるところです
◇はあ、選手は、「壁」を見ちゃいけないんですね。それで、選手はこっちに来ないで、壁の裏のテントに固まってるんですね。なんで見学しないのか不思議でしたが、納得です
お、登りはじめました。安全確保のロープをかけながら登っていくんですね。予想より速いです
◆うん、途中に「カラビナ」という金具がぶら下がっていて、
それにロープをとおしながら登ってゆくんです
◇へぇー、じゃあ、安全だ。あれっ、あの選手、お洒落ですね。
グレゴリーのチョークバックを腰につけて登ってますよ。
私のと色違い。ほら♪
◆あのね〜、チョークバックはそもそもクライミングの道具です!登りながら手を突っ込んで、滑り止めの粉を手につけるんです。君のように携帯電話を入れるのは邪道ですよ
◇げげっ、これは失礼。いよいよオーバーハングに差しかかりましたが、ピクリとも動かなくなっちゃいましたよ。みんな「ガンバ!」と声かけてますが…
あ、あっ〜。落ちたぁ〜〜〜。おっ、ロープのおかげで止まった。ふぅ〜。でも、ロープ確保で下にいる人も大変ですね
◆どうです、やってみたくなりましたか?
◇ちょっとカッコいいスポーツですよね。登山と言うとザックを背負って、テント泊まりのイメージしかなかったので…やってみたいですね
◆じゃあ、紹介してあげますね、後で
◇ところで、おやつはまだですか〜
◆へっ?
◇「ミチなんとか喰ってくか」っていってましたよね、さっき
◆……………!
【追】
県選手権は今日で終わりですが、来週の土曜日(7月1日)に県民体育大会山岳競技のクライミングが行われます
興味のある方はご覧になってください
【追の2】
登っている写真のゼッケン2番の方は、途中で落ちてはいません。上まで制限時間内に登りきった(「完登=かんと」といいます)選手ですから、誤解のないように