こんな文章を読みました。
生まれてはじめて算術の教科書を手にした。小型の、まっくろい表紙。ああ、なかの数字の羅列がどんなに美しく眼にしみたことか。少年は、しばらくそれをいじくっていたが、やがて、巻末のペエジにすべての解答が記されているのを発見した。少年は眉をひそめて呟いたのである。「無礼だなあ」自分の考えを、さも「解答」のように皆さんお示しするのは「無礼」なこと…なのでしょうね。(太宰治「葉」)
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全く場違いな所に行きました。
館長講座2011第1回「大震災を前にして、美術に何ができるか」
を聞きに行ってきました。
岩手日報に開催の記事がありましたので、
「大震災を前にして、スポーツは…」
と頭が煮詰まってしまっている私は、
考えるヒントがほしくてノコノコと出かけたのです。
今回は「館長講座」とは言うものの、座談会です。
ステージに上がっていたのは
原田 光さん(岩手県立美術館館長)
斉藤 純さん(岩手町立石神の丘美術館件p監督) のお三人。
座談会は次の3本柱で進められており、
�@震災に対する美術館の対応は
�A美術館は何をすべきか
�B美術館は何ができるか
フロアにも有名な作家の方や、他の美術館の館長さんなどが参加されているようで、
様々な発言があり、たくさんの考えるヒントをいただくことができました。
スポーツも美術館も、悩みに悩んでいます。
震災とスポーツ、震災と件p…両方ともなかなか結論の出ない、考える価値の高い問題です。
とは言うものの、
スポーツは件pに一歩リードされた…と感じました。
スポーツは
「参加無料・申込不要・120名定員」で、誰でも、例えば、私でも参加することができる、このような「考えるイベント」を開催できないでいます。
冒頭、岩手県立美術館の原田館長がこうおっしゃいました。
「一旦、こういう事に手をつけたからには、
この1・2年をかけて、
いろいろな分野の人たちと「震災と美術館」について考えてゆかなければならない。」
おそるべし、美術館!です。
今日の岩手日報の「論説」には「5年後の岩手国体 復興への旗印にしよう」という題名の説が載っています。
このように、国体の開催時期が大きな問題提起となっている、今、もう一度、自分の考えを、自分自身でまとめてみることが大切だと考えます。
「スポーツができることは何だろう。スポーツがすべきことは何だろう。」
こんな時こそ「知ることよりも 考えること」が必要だと思います。