■日本電産サンキョーのスケート部廃部
北京オリンピックが終了して間もなくの3月1日に、
スピードスケートの名門・日本電産サンキョースケート部の今年度いっぱいでの廃部が発表されました。
報道によると
■オリンピック選手の監督コーチの所属を調べた
本当だろうか…と、冬季オリンピック6大会分のスピードスケートの監督・コーチの所属を調べてみました。
一目瞭然。本当だったのです。
2014年ソチ以前と、それ以降の2大会(2018ピョンチャン、2022北京)には大きな変化があります。
■ソチ以前は
選手が所属するチームの監督やコーチが、オリンピックの監督・コーチとなる傾向
■ピョンチャン以降は
連盟の、たぶんナショナルトレーニングセンター=日本代表選抜チームの、コーチが、オリンピックの監督・コーチとなる傾向
■選手の所属も様がわり
Number Web にこんな記事もありました。
さっきの表には、選手だけが参加した所属先も載せておきましたが、
なるほど、スケートチームがないと思える所属の選手もたくさんいます。
■さて岩手の世界レベルの選手の所属は
気になることがあったので、
今年度(2021~2022シーズン)国際競技会に出場した「岩手アスリート」の所属を調べてみました。
岩手とちょっとでも関係があると思われるアスリートを、私の気づく範囲でリストアップしています[→Link ]が、そこから拾ったものです。
「ちょっとでも」「思われる」「気づく範囲」とかなり精度は低いのですが、傾向はわかるだろうな…と。
こうでした。
今年度は36人、国際競技会に出場したアスリートがいたのですが
■うち県内の所属で出場 6人17%
つまり、県外所属は 30人83%
■岩手の中学卒業者は 31人86%
逆に、県外中学卒業者 5人4%
この比率についてどうこうということは、今日は、考えないことにして先に進みます。
■コーチと選手の所属先の変化から考える
さて、
こういう傾向で日本のトップ選手が育成されているとすれば、
岩手県オリンピック選手を増やすために取りうる手はなんだろうか…と考えました。
▼岩手にIターン
「所属調べ表」の下から二行目、
「県外中学卒・前所属(高校や大学や実業団など)県外・現所属岩手」を増やすこと、つまり「Iターン」者を受け入れることが容易になったのです。
ソチ前は、
チームを持たないと、つまり、監督もコーチもトレーナーも、場所も用具もそろえないと、選手を受け入れらかったのですが、
今は、
力を持った選手であれば、ナショナルトレーニングセンターで、日本チームのメンバーとしてトレーニングをしますので、
所属先は、選手だけを抱えればよいのです。
先ほどの表の一番下は「県外・県外・県外」となっていて
(なんで岩手のアスリートなんだよ?)と思われる方もいらっしゃるでしょう。
一人は、
岩手で生まれた(里帰り出産)オリンピック出場者、
もう一人は、
岩手の企業に所属し、ずっと東京支社にいて、企業とは関係ないクラブチームで活動しているオリンピック出場者、
そして三人目は、
岩手の企業がスポンサーの一員として支援しているオリンピック出場者、
です。
Iターンがしやすい環境に変化しているのです。
▼でも大切なことが
とはいえ、実業団に限らず、地元にチームがなくなると、
指導者がいなくなるのです。
ナショナルトレーニングセンターで活動できるアスリートは、ほんの一握り。
ほとんどの人は、ナショナルメンバー入りを目指して、現所属チームでトレーニングして行かなればなりません。
その指導をしてくれる「ローカルコーチ」がいなくなり、活動を支える「ローカルクラブ」がなくなっては、岩手の競技スポーツは衰退します。
トップレベルで起きていることと、ローカルで守らねばならないことは異なっています。
▼両にらみ
軸足は「ローカル」、景気づけ・動機付けは「ナショナル」のIターンの両にらみが必要です。
偏らないこと、偏っても別のことも忘れないこと…です。
スポーツで岩手を元気に!
さあ、がんばりますよ、がんばりましょうね!