がんばろう!岩手のスポーツ

岩手スポーツ応援団長を勝手に名乗る平藤淳の個人的なブログです

これからを考える/企業チーム廃部のニュースと岩手アスリートの活動母体から

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日本電産サンキョーのスケート部廃部

北京オリンピックが終了して間もなくの3月1日に、
スピードスケートの名門・日本電産サンキョースケート部の今年度いっぱいでの廃部が発表されました。
報道によると

◆日本連盟はメダルなしに終わった2014年ソチ五輪後、有力選手を集めほぼ年間を通じてナショナルトレーニングセンター(NT)で強化する体制を整えた
◆かつては世界で活躍する選手の育成が(実業団)各チームの目標だったが、現在ではNT入りするところまでが事実上の役割に
そして
◆(廃部の一因は)世界に通用する指導者の育成ができない。実業団として自己完結するのが難しくなった

THE SANKEI NEWS 2022/03/01 
https://www.iza.ne.jp/article/20220301-W643XEDMRJON7OJOXAVZBTRYNM/

■オリンピック選手の監督コーチの所属を調べた

本当だろうか…と、冬季オリンピック6大会分のスピードスケートの監督・コーチの所属を調べてみました。
一目瞭然。本当だったのです。

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2014年ソチ以前と、それ以降の2大会(2018ピョンチャン、2022北京)には大きな変化があります。

■ソチ以前は
選手が所属するチームの監督やコーチが、オリンピックの監督・コーチとなる傾向

■ピョンチャン以降は
連盟の、たぶんナショナルトレーニングセンター=日本代表選抜チームの、コーチが、オリンピックの監督・コーチとなる傾向

■選手の所属も様がわり

Number Web にこんな記事もありました。

それが功を奏して、平昌、北京と金メダルを含む複数個のメダルを獲得するに至っている。ただ、選手をオリンピックの舞台まで育て上げるわけでもなくナショナルチームに預ける形となったことで、実業団の部の位置付けは曖昧に、あるいは以前と大きく様変わりしてしまったことは否めない。
最近ではスケート部がない会社に所属するなどして競技に取り組む選手もいる。

Number Web 「高木菜那らが所属、名門・日本電産サンキョーが突然の廃部…選手も当日に知らされる“異常事態”はなぜ起こった?〈4月入社予定の高校生も〉」松原孝臣
https://number.bunshun.jp/articles/-/852249

さっきの表には、選手だけが参加した所属先も載せておきましたが、
なるほど、スケートチームがないと思える所属の選手もたくさんいます。

■さて岩手の世界レベルの選手の所属は

気になることがあったので、
今年度(2021~2022シーズン)国際競技会に出場した「岩手アスリート」の所属を調べてみました。
岩手とちょっとでも関係があると思われるアスリートを、私の気づく範囲でリストアップしています[→Link ]が、そこから拾ったものです。
「ちょっとでも」「思われる」「気づく範囲」とかなり精度は低いのですが、傾向はわかるだろうな…と。

こうでした。

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今年度は36人、国際競技会に出場したアスリートがいたのですが
 ■うち県内の所属で出場 6人17%
  つまり、県外所属は  30人83%
 ■岩手の中学卒業者は  31人86%
  逆に、県外中学卒業者 5人4%

この比率についてどうこうということは、今日は、考えないことにして先に進みます。

■コーチと選手の所属先の変化から考える

さて、
こういう傾向で日本のトップ選手が育成されているとすれば、
岩手県オリンピック選手を増やすために取りうる手はなんだろうか…と考えました。

▼岩手にIターン

「所属調べ表」の下から二行目、
「県外中学卒・前所属(高校や大学や実業団など)県外・現所属岩手」を増やすこと、つまり「Iターン」者を受け入れることが容易になったのです。
ソチ前は、
チームを持たないと、つまり、監督もコーチもトレーナーも、場所も用具もそろえないと、選手を受け入れらかったのですが、
今は、
力を持った選手であれば、ナショナルトレーニングセンターで、日本チームのメンバーとしてトレーニングをしますので、
所属先は、選手だけを抱えればよいのです。

先ほどの表の一番下は「県外・県外・県外」となっていて
(なんで岩手のアスリートなんだよ?)と思われる方もいらっしゃるでしょう。
一人は、
岩手で生まれた(里帰り出産)オリンピック出場者、
もう一人は、
岩手の企業に所属し、ずっと東京支社にいて、企業とは関係ないクラブチームで活動しているオリンピック出場者、
そして三人目は、
岩手の企業がスポンサーの一員として支援しているオリンピック出場者、
です。

Iターンがしやすい環境に変化しているのです。

▼でも大切なことが

とはいえ、実業団に限らず、地元にチームがなくなると、
指導者がいなくなるのです。

ナショナルトレーニングセンターで活動できるアスリートは、ほんの一握り。
ほとんどの人は、ナショナルメンバー入りを目指して、現所属チームでトレーニングして行かなればなりません。

その指導をしてくれる「ローカルコーチ」がいなくなり、活動を支える「ローカルクラブ」がなくなっては、岩手の競技スポーツは衰退します。
トップレベルで起きていることと、ローカルで守らねばならないことは異なっています。

▼両にらみ

軸足は「ローカル」、景気づけ・動機付けは「ナショナル」のIターンの両にらみが必要です。
偏らないこと、偏っても別のことも忘れないこと…です。

スポーツで岩手を元気に!
さあ、がんばりますよ、がんばりましょうね!