岩手県の新聞・岩手日報の投稿欄「日報論壇」に、
私の投稿を載せていただきました。
2026年1月12日付けです。
しかも「スポーツの選択肢残したい」という、素晴らしい題名までつけていただき感謝しています。
岩手県にいない人は、岩手日報が手に入りづらいでしょうから、
岩手日報社の許諾を得て、記事をシェアします。
どうぞ、お読みください。

また、私の原稿に脚注をつけたものも参考までに掲載します。
「スポーツの選択肢残したい 平藤 淳」(脚注つき)
スピードスケートの吉田雪乃選手 *1 (寿広)が、2026年ミラノ・コルティナ冬季オリンピックの日本代表に内定した。盛岡市出身で、盛岡工高卒業後、盛岡の企業に就職し岩手に練習拠点を置いている。この競技での岩手選手の出場は、1952年オスロ大会に工藤祐信さん *2 が出場して以来74年ぶりの快挙である。県民にとって誇らしいニュースであり、子どもたちに大きな夢を与える存在だ。
これまで、岩手出身のトップアスリートは、中学・高校まで県内で活動し、その後、県外へ移るケースが多かった。しかし、近年は岩手の企業に所属し、あるいは、岩手の学校に在籍して世界に挑戦する選手 *3 が増えている。これは、多くの関係者が「岩手から世界へ」*4 というスローガンのもとに築き上げてきた岩手のスポーツ環境が、実現しつつある証である。
❶吉田雪乃:2003年生、株式会社寿広(盛岡市)勤務、盛岡工業高校卒←北陵中(盛岡市)
❷工藤祐信:1927-2012、当時岩手県立柏高校教諭(現・盛岡農業高校)、早稲田大学卒←盛岡農業専門学校、オスロ大会は男子500m15位・1,500m33位
❸夏季・冬季オリンピックに出場した岩手ゆかりの選手は、延べ73人。うち、出場時に岩手の学校や企業等に在籍・所属していた選手は、延べ10人のみ。10人のうち4人を2000年代出場の選手が占める
・2024年/パリ 中野慎詞◆自転車/日本競輪選手会青森支部岩手登録
・2021年/東京 佐々木千鶴◆射撃/岩手県警察
・2018年/ピョンチャン 岩渕麗楽◆スノーボード/一関学院高校生徒
・2008年/北京 小沢みさき◆ホッケー/富士大学大学院学生
・1998年/長野 古川純一◆スキー/リクルート
・1994年/リレハンメル 三ケ田礼一◆スキー/リクルート
・1992年/アルベールビル 三ケ田礼一◆スキー/リクルート
・1972年/ミュンヘン 湊 義雄◆ボート/自営・山田高OB
・1964年/インスブルック 八幡長五郎◆スキー/田山営林署
・1952年/オスロ 工藤祐信◆スピードスケート/柏高校教員
❹2007年に開始された岩手県のスポーツタレント発掘・育成事業「いわてスーパーキッズ発掘・育成事業」のスローガンは「岩手から世界へ!」。
オリンピック出場の修了生には
・小林陵侑(1期生、スキージャンプ、2018年ピョンチャン五輪出場・22年北京で金・銀メダル獲得)
・谷地 宙(5期生、ノルディックスキー複合、22年北京出場)
・吉田雪乃(7期生、スピードスケート、26年ミラノ・コルティナ内定)
しかし、同時に、岩手のスポーツ環境の根幹を揺るがしかねない動きもある。昨年11月18日の本紙に「解体12、売却・移管18 県が第2期施設管理案」という見出しで、本県が建物などの老朽化対策の基本方針 *5 を発表したという記事が掲載された。その中で、「老朽化が進み利用率が低い県営スケート場」を「廃止を前提に検討する」施設 *6 とする検討方針案 *7 が明らかになった。
だが、県が昨年9月に公表した「県営スポーツ施設のあり方に関する報告書」*8 では、県営スケート場を「400mリンクを有する県内唯一の施設として、長期的に県営の施設として維持することが望ましい」と位置づけていた。それだけに、今回の検討方針案は関係者に戸惑いを招いている。
❺第2期公共施設等総合管理計画(最終案)
❻新聞記事ではスポーツ施設の検討案が次のように示されている
・現在地で現機能を維持=スキージャンプ場
・他施設との集約化を視野に更新を検討=県営体育館
・現機能を維持するために長寿命化改修を検討=県営運動公園、県営武道館
・機能の廃止を前提に解体を検討=県営スケート場
・機能廃止を前提に売却・移管を検討=県営屋内温水プール
❼検討方針案は、最終案の中には記載されていない。Web上にも見つけられない。
ただ、11月17日の知事定例記者会見記録には、記者の発言として「(岩手県議会令和7年12月定例会議案等)説明会の中では県民生活に影響が出そうな67施設の先行評価というのも示され」とあり、県議会議員と報道関係者に配布された資料と思われる。
❽「県営スポーツ施設全体の規模や配置、機能等の適正化を図るため、県営スポーツ施設の今後のあり方について検討」した結果をまとめたものという記述がある。
なお、⑥に示した施設の中で、報告書と異なった検討案が出たものは、県営スケート場のみである。
本県は、冬季競技を含む国民スポーツ大会全競技の開催が可能 *9 な、全国でも数少ない県だ。多くの競技の施設がありスポーツの選択肢が多いという意味で、「豊かなスポーツ県」である。この「豊かさ」は、将来世代に「選択肢」を残すことで保たれる。
400mスケートリンクの廃止は、吉田選手に続こうとする子どもたちから、スピードスケートという選択肢を奪いかねない。施設の廃止は、財政的な「ツケ」を残さないかもしれないが、「世界に挑戦する機会」という別の「ツケ」を将来世代に残すことになる。
❾岩手県は、国民スポーツ大会基準の400mスピードスケートリンクとスキージャンプ台を併せ持つ数少ない県。冬季競技の全種目を自県開催できるインフラに加え、夏季競技のセーリング等に必要な海洋環境も有しており、日本国内で夏季・冬季すべての国民スポーツ大会競技を単独開催できるポテンシャルを持つ、極めて希少な道県(北海道、岩手、山形など)の一つである。
この課題は、スケートだけの問題として矮小化すべきではない。74年ぶりの五輪選手誕生とスケート場の存廃議論が重なった今こそ、岩手が豊かなスポーツ県であり続けるため、廃止か維持かの二者択一にとどまらず、スポーツ施設建設・運営の新たな仕組みを県民と関係者がともに考える好機である。
(盛岡市 団体役員 69歳)
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読んだ方からは(そのとおりだね)と言われます。
でも、
好機だと捉えても、何もしなければ、何も起こらないと考えています。
考えただけでは、なにも生まれないことも知っています。
まだ、がんばりますよ、がんばりましょうね!